SONY Headphone

SONY ヘッドフォン

CD-R のコーナーでも SONY の製品をご紹介していますが、ヘッドフォンも長年 SONY のものを愛用しています。他のメーカーのものがきらいなのではなく、ただ単にずっと使ってきたヘッドフォンがまたまた SONY だった、くらいの感じです。

日記のほうで使用感などをちょろちょろと書き残すことがありましたが、それらが検索エンジンに拾われていることもあるので、例によって自分用のメモ書きついでに静的なコンテンツとして掲載することにします。SONY の MDR-CD900 系に興味のある方のご参考になればと思います。

CD-R のコーナー同様、製品に対する評価には、少ながらず私の主観が含まれていますので、あらかじめご承知おきください。また内容には十分配慮して記述しているつもりですが、内容の確実性を保証するものではありませんので、あわせてご了承ください。

MDR-CD900

言わずと知れた・・・と言いたいところですが、一般には後述の業務用モデル MDR-CD900ST のほうが有名です。ここでご紹介する MDR-CD900 (末尾にSTがつかない) は、MDR-CD900ST の前身となるモデルで、コンシューマ向け (民生用) に流通したものです。型番に「ST」がつく MDR-CD900ST は、MDR-CD900 を業務用に調整して登場したモデルです。なお私見では、MDR-CD900 の純粋な後継機種 (子孫) は MDR-CD999 や MDR-Z900 (海外では MDR-V900 または MDR-7509) であり、MDR-CD900ST は業務用に扱いやすくした弟分、のように思っています。

MDR-CD900 は、日本でオーディオ CD (CD-DA) が普及し始めたころに、CD のクリアな音声を楽しむためのデジタルモニターとして発売されました。当時の定価は 25,000 円で、高級なオーディオ製品のひとつだったことがうかがえます。

振動板はアモルファスダイヤモンド蒸着振動板 (ダイアフラム)、マグネットはサマリウムコバルトが採用されています。折りたたみができる構造で、コードはカールコード、ジャックは金メッキ仕様の 2 ウェイプラグです。

音質

音質はきわめて純粋かつクリアです。現在にまで引き継がれている「原音への忠実さ」を保ちながら、低音から高音まで全体的に元気よく鳴らしてくれます。独特の「空気の再現性」は特筆に値すると思います。ただしリスニング用としては低音は控えめかもしれません。これは SONY のひとつのカラーと言ってもいいでしょう。

ヴォーカルはくっきりと聞こえます。MDR-CD900ST の評価にしばしば見られる、いわゆる「サ行のきつさ」を感じることはありません。ヴォーカルは目立ちつつ、それでいて楽器の音もしっかり聞こえます。クラシックにしてもバンドにしても、楽器それぞれの再現性に感動します。

ギターやベースの音も上品かつ力強く耳に入ってきますし、ドラムスもライブで聴いているような鮮やかさが光ります。ピアノが入る曲の場合、艶やかな質感が十分保たれていて、ピアノがバンド (ベース、ギター、ドラムセット) にマッチすることをあらためて実感させられます。もちろん歌謡曲を聴けば、ヴォーカルからオーケストラまで満遍なく楽しめます。

何につけてもバランスの良さが秀逸です。先述のとおり、低音がリスニング用としては控えめなので、低音重視の方には物足りないかもしれません。しかし、決して弱いわけではなく、「上品」と表現できます。どうしても低音を強くしたければ、ヘッドフォンアンプやイコライザで調整するのが良いでしょう。

イヤーパッドと装着感

イヤーパッドは MDR-7506 や MDR-V6 と同じ、分厚いタイプです。MDR-CD900ST のソフトで薄いタイプに交換すると、やや迫力がアップし、MDR-CD900ST 寄りになりますが、それでもネガティブな鋭さを感じないので、交換して使ってみるのもまた楽しいでしょう。

側圧は比較的軽めで、長時間使っていても疲れません。ヘッドバンド、ヘッドクッションも MDR-7506 や MDR-V6 と共通の部品 (ヘッドクッションの表記の違いはありますが) ですから、消耗した場合には交換が可能です。ただし MDR-CD900ST のベッドバンド、ヘッドクッションとは大きさ自体が違いますので、900ST のものと交換すると、装着感や側圧、感触の違いが出ます。

ソニーの CD-R ドライブを例に・・・

あいまいな言い方になりますが、MDR-CD900ST に比べて、いたずらに元気すぎず控えめで、まろやかに肉厚、といった感じでしょうか。

わかりづらいたとえですが、MDR-CD900ST を CD-R ドライブ CDU948S とすると、MDR-CD900 は CDU920S のようです。MDR-CD900ST は、CDU948S のような独特の輝きがある一方、MDR-CD900 は、CDU920S のような落ち着いた艶やかさがあります。

CDU920S は、肉厚で精緻な音質に仕上がりますが、同じくしっかりした音質に定評のある PLEXTOR 製ドライブほど優等生的、万人受けするタイプではなく、あくまで新鮮さで勝負といった感じです。MDR-CD900 には、CDU920S で作成した CDDA の音を彷彿とさせるものがあります。単純に「音質の良いヘッドフォン」を挙げるなら、アーカーゲーやゼンハイザーの同価格帯製品のほうが無難かもしれませんが、なぜかクセになってしまうのが MDR-CD900 です。

MDR-7506 と MDR-CD900ST どちらに近いか

リスニング環境向きという点では MDR-7506 に近く、音の繊細さと明るさは MDR-CD900ST の傾向があります。MDR-7506 にはネオジムマグネット版とサマリウムコバルトマグネット版がありますが、どちらかというとサマリウムコバルト版の MDR-7506 に近いように思います。サマリウムコバルトのキリっとした明るい感じは、MDR-CD900 を思わせます。ネオジム磁石版のほうはややおとなしめで、落ち着いたリスニング向きです。

MDR-CD900ST と比べると、いわゆる原音重視なクリアさは似ていますが、MDR-CD900ST の評価でよく言われる「痛い・キンキンする」ということはありません。MDR-CD900 は、MDR-7506 と MDR-CD900ST 両方の旨味を併せ持ったヘッドフォンといえます。

もう1台欲しい

私はエージングについて詳しくないのですが、音を垂れ流してエージングする、ということはやりません。使っていくと自然に枯化するのかもね・・・程度に考えています。エージングによって音はまろやかになるのでしょうけれど、限度を超えれば振動板等が劣化してしまうのではないかと心配です。この機種は、泣いても笑ってももはや新品では入手できないだけに、悪い意味でのエージング=振動板の劣化は気がかりです。

かといって、せっかくの名機なのに使わずに後生大事に保管しておくのでは本末転倒ですから、いまだに初めて聴く曲のリスニングなどを中心に使っています。

発売当時の価格(定価)は 25,000 円でした。もし今新品が手に入るのなら、この値段以上でもよいので、ぜひもう 1 台買いたいと思う機種です。

諸元

主な仕様は以下のとおりです。

諸元 (MDR-CD900)
型式/Type 密閉ダイナミック型
ユニット/Driver Units φ40mmドーム型
振動板/Diaphragms アモルファスダイアモンド蒸着振動板
マグネット/magnet サマリウムコバルト
インピーダンス/Impedance 63Ω
感度/Sensitivity 106dB/mW
最大入力/Power handling capacity 1,000mW
再生周波数/Frequency response 5〜30,000Hz
重量/Weight 230g (コード含まない)
定格電力/Rated power -
折りたたみ/Fold
コード/Cord 3m, LC-OFCリッツ線, カールコード, 片出し
プラグ/Plug type ステレオ 2 ウェイプラグ (金メッキ)
発売時期/Release 1987年頃
価格/Price 25,000 円

MDR-CD900ST

MDR-CD900ST は、民生機として販売された MDR-CD900 を業務用にチューニングしたモデルです。登場からしばらくの間は、スタジオ向け、業務用として業界内を中心に流通し、コンシューマ市場に出回ることが少なかったためか、レアアイテムのように扱われたこともありました。なお、MDR-CD900 とほぼ同じタイミングで MDR-CD700 という機種が発売されており、外見が MDR-CD900ST そっくりです。

スタジオで多用されたため、長い間生産され流通しており、発売から現在までの間に、部品も何度か変わっているようです。振動板やマグネットの素材を明記したソースが見つからないのはそのせいでしょうか。同じ機種名でも部品が変更されているとしたら、ロットによって音質に多少の違いが出てくることになります。とても興味深いことですが、プロの現場で使われていることを想定し、部品が変わっても仕事に影響が出ないよう、よくチューニングされてから出荷されているのだと思います。

MDR-CD900 との違い

外見は MDR-CD900 そっくりですが、以下のような違いがあります。

ポイント MDR-CD900 MDR-CD900ST
折りたたみ できる できない (スタジオ用のため不要)
コード カールコード ストレートコード
プラグ 金メッキステレオ 2way プラグ φ6.3mm ステレオ標準プラグ (一部金メッキステレオ 2way プラグ)
ヘッドバンドの文字 DIGITAL MONITOR STUDIO MONITOR
ハウジングのデザイン 光沢仕上げ つや消し仕上げ
クリックケースの L・R 金 (一部 MDR-CD700 同様の黒) 青・赤
イヤーパッド 厚め (MDR-7506・MDR-V6 タイプ) 薄め
ミクロングラス なし あり
LR間ケーブルの仕上げ 露出 ハンガー内
ハウジングの型式表記 MDR-CD900 初期 : MDR-CD900 (MDR-CD900CBS) / 後期 : MDR-CD900ST

登場当初のものは、ハウジング部に「MDR-CD900」と表記されていたので、今となっては少し紛らわしいことになっています。当初は、一般に流通することを想定していなかったことが一因でしょう。のちに現行の MDR-CD900ST という表記に変わりました。

音質

肝心の音質については、他でもたくさん議論されているとおりです。とにかくフラットで分解能の高さが特徴となっています。モニターヘッドフォンの名の通り、主な目的は「音楽を楽しむ」というよりは、「音をつくる」作業に主眼が置かれているといっていいでしょう。使用機器の出力チェック、ノイズチェックなどにも使えます。テレビ番組などの映像収録の際、音声さんがよくつけているのをよく見かけますね。

音楽を聴くときには、どの楽器がどのようなメロディラインを描いているのかが、とてもわかりやすく聞こえるので、耳コピしたいときにも重宝します。

「リスニングに向かない」と評されるのをよく見ますが、これはいかがでしょうか。個人の好み、と言ってしまえばそれまでですが、使いようによってはリスニングにも使えると思います。「耳が痛いような音が出る」というコメントも散見されますが、痛いほど音量を上げなくても十分クリアな音が出ますので、少なくとも私は痛いとまでは感じません。ただ、「粗探し」と言われるほど分解能が高いだけに、そのような評価にも納得できます。

どちらにしても、音楽が好きでかつ SONY 好きにとっては、買って損のない製品だと思います。アーティストがレコーディングで使っているのをよくみかけますので、何となくプロと同じ気分が味わえるような雰囲気だけでも十分におもしろい製品だと思います。

諸元

主な仕様は以下のとおりです。

諸元 (MDR-CD900ST)
形式/Type 密閉ダイナミック型
ドライバーユニット/Driver Units φ40mm ドーム型 (CCAW 採用)
振動板/Diaphragms -
マグネット/magnet -
インピーダンス/Impedance 63Ω
音圧感度/Sensitivity 106dB/mW
最大入力/Power handling capacity 1,000mW
再生周波数帯域/Frequency response 5〜30,000Hz
重量/Weight 200g(コード含まず)
定格電力/Rated power -
折りたたみ/Fold 不可
コード/Cord 2.5m, ストレートコード, 片出し
プラグ/Plug type ステレオ標準プラグ (6.3φ)
発売時期/Release -
価格/Price 18,000 円 (税抜)

MDR-7506

もともとは海外用のモデルですが、のちに日本国内でも流通するようになり、MDR-CD900ST の海外版として知られています。折りたためる構造やカールコード、2way プラグなどの特徴から、MDR-CD900 の後継のようにも見えます。外見やパーツはほとんど同じものですし、音の傾向も MDR-CD900 を思わせる鮮やかさがあり、特にサマリウムコバルト版 (詳細後述) はよく似ています。

国内向けと海外向け

先行して流通した海外版は、青色を基調としたデザインのしっかりしたパッケージに入れられて販売されました。パッケージにはご丁寧に分解図まで含まれており、長く大切に使うことが想定されているようで好感が持てます。とくに前半出荷分のドライバーは、MDR-V6 用と同じサマリウムコバルト磁石が採用されており、パーツナンバーも共通でした。

後に、日本国内向けに白箱パッケージのものが流通しました。このころにはドライバーの部品に変更があったようで、ネオジム (ネオジウム) 磁石になり、海外向けに流通した初期ロットとは少し違う鳴り方をします。MDR-Vxxx や MDR-7xxx は海外用の型番だと思っていたので、国内向けに MDR-7xxx が生産され販売されているのは少し不思議に思っていました。

MDR-7506 は、同じ機種の中でも、ロット (あるいは流通) によって使われている磁石が異なるという、少し変わった機種です。ロングセラーなので部品変更もやむを得ないでしょう。

最近は、海外用のパッケージの中にも、ネオジム磁石を採用しているものがあるようなので、サマリウム版を狙って入手したい場合は注意が必要です。海外各国の SONY ウェブサイトや通販サイトなどのスペックを見ると、すでに多くのところでネオジム磁石使用の旨が記されています。私が手元にあるパッケージには「サマリウムコバルト磁石使用」と書かれていますが、最近生産された海外版はどのような表記になっているのか、気になるところです。

海外向け=サマリウムコバルト、国内向け=ネオジム、というよりは、出荷ロットによって部品の違いがあると認識しておくのがよさそうです。

ちなみに、「ネオジム磁石」を「ネオジウム磁石」と表記するケースを見かけますが、誤用とする説もあるなど、意見が分かれているようです。英語表記が「Neodymium」(あえて読むなら「ネオジミウム」)なので、何となくネオジウムと読みたくなる気はしますね。実際のところ、ドイツ語表記の「Neodym」が元になっているみたいです。

音質

先述のとおり、ネオジム版とサマリウム版では少し音質が違います。主に日本国内で流通したネオジム版は、正当派リスニング向け、とでも言いましょうか、全体的にそつなく鳴らしてくれる感じです。低音もしっかり鳴ります。中音域も無難ですが、高音域は MDR-CD900ST に比べると甘く感じます。分解能では MDR-CD900ST に一歩譲るものの、まろやかさでは MDR-7506 のほうが上手ですから、用途や気分によって使い分けができるはずです。

主に海外で流通した前半ロットのサマリウムコバルト版は、サマリウム磁石らしい明るい音が楽しめます。MDR-CD900 の「音楽を楽しめる」特長と、MDR-CD900ST の「原音忠実・分解能の高さ」を併せ持った名機です。MDR-CD900 に比べると、元気さでは本機のほうが上ですが、質感や上品さでは MDR-CD900 に軍配が上がります。それでも、現在入手できる機種の中で、もっとも MDR-CD900 に近い気がします。

磁石の違いによる音質への影響については、もはやユーザー間では一般的に知られています。私も実機を複数台を体感して比較すると、たしかに違いを感じることができました。しかしながら、出荷ロットによる部品の違い、個体差などの要因も考えられますので、どうにも断定的には言いにくいところです。ただ、ヘッドフォンの基礎部品である磁石の違いが、その音質に少なからず影響を及ぼすというのは、十分に考えられます。

コストパフォーマンスと品質

安いところでは 10,000 円程度で購入することもできるので、コストパフォーマンスは非常に高いといえます。国内版、海外版どちらにしても、同価格帯のヘッドフォンにはなかなか見られないクオリティです。数千円程度のヘッドフォンを使っていてちょっと満足いかないという方には、特におすすめします。

あくまで私見ですが、今後、サマリウムコバルト版の入手は難しくなるように思います。サマリウム版ご指名で手に入れたい方というはお早めに。私もいまのうちにもう 1 台買っておこうか悩んでいます。ショップによっては、国内盤・海外版 2 種類あることを知らないところもありますので、どうしても磁石にこだわる方は、質問してきちんと答えてくれるところで購入するのが無難です。

諸元

主な仕様は以下のとおりです。

諸元(MDR-7506)
型式 / Type 密閉ダイナミック型 / Circum-aural, closed / Dynamic, closed
ユニット / Driver Units 40mm ドーム型 (40mm ダイアフラム)
振動板 / Diaphragms -
マグネット / magnet 現行機種 : Neodymium (sony.com) / 初期版 : サマリウム (サマリウムコバルト)
インピーダンス / Impedance 63Ω
感度 / Sensitivity 106dB/mW
最大入力 / Power handling capacity 1,000mW
再生周波数 / Frequency response 10〜20,000Hz / 5〜30,000Hz
重量 / Weight 230g (コード含まず) / 8.1oz
定格電力 / Rated power 0.5W
折りたたみ / Fold
コード / Cord 1.2m (伸張時 3m), OFC Cord, カールコード, 片出し
プラグ / Plug type ステレオ 2 ウェイプラグ (金メッキ) / Gold, Stereo Unimatch plug / 1/4 and 1/8
発売時期 / Release -
価格 / Price 実売 15,000 円前後 / 130.00US

MDR-Z900 / MDR-7509

ダイアフラムにアモルファスダイヤモンド蒸着振動板を採用したことで、名実ともに MDR-CD900 の直系の後継機として知られることになった機種です。ただしマグネットは、MDR-CD900 で使われたサマリウムコバルトではなく、ネオジムになっています。

海外では当初 MDR-V900 として出回りましたが、のちに本体のデザインが少し変更になり、MDR-7509 として販売されました。外見の違いこそありますが、スペック的にはまったく同じなので、同等品と考えてよさそうです。もちろん生産地やロットによって生じる多少の差異はあるでしょう。

音質

音質はたしかに MDR-CD900 の流れを汲んだものです。しかしドライバーの大きさが 50mm (MDR-CD900 は 40mm) になっており、ドライバーと耳の距離は離れています。本体の形状も、従来機とはだいぶ異なっています。イヤーパッドも MDR-CD900 が耳たぶを押さえるくらいの大きさだったのに対し、こちらは耳をすっぽり覆う形なので、音の聞こえ方はだいぶ違います。

高音も低音もバランスよく艶やかで非常に綺麗なのですが、MDR-CD900・MDR-CD900ST の流れである「原音忠実」、「サッパリ系」からは少し離れるような印象です。そういう意味では、リスニング用の音を出すための工夫が、音質によく反映されている機種だといえます。全体的な艶やかさは高く、音楽を満喫することができます。

MDR-CD900 の後継者?

本機種は、音楽を楽しむにはうってつけの機種です。耳をすっぽり覆ってくれるので、耳たぶが圧迫されることもありません。SONY の旧来機種ではあまり強調されなかった低音も、この機種はしっかり鳴ります。しかし MDR-CD900 に比べて、ヴォーカルのくっきり感はやや控えめです。ただしこれはあくまで「比較した評価」であり、気持ちよくリスニングできることには間違いありません。スタジオ・モニターとして設計されたのではなく、あくまでコンシューマ向けのリスニング用に作られたことが感じられる製品です。

同じ民生用機種だった MDR-CD900 の面影を残す良品ですが、ドライバーが 40mm から 50mm に大きくなっていることもあり、どこまで MDR-CD900 に似ているといっていいのか悩むところです。MDR-CD900ST や MDR-7506 が兄弟分、MDR-Z900 は生まれ変わった 2 代目、「せがれ分」といったところでしょうか。

現在では、後継の MDR-Z900HD / MDR-7509HD が現行品となっており、本製品の新品入手は難しくなっています。

諸元

主な仕様は以下のとおりです。

諸元 (MDR-Z900 / MDR-V900 / MDR-7509)
型式 / Type 密閉型 / Circum-aural, closed
ユニット / Driver Units 50mm ドーム型 (OFC ボイスコイル採用)
振動板 / Diaphragms アモルファスダイアモンド蒸着振動板 / Amorphous diamond diaphragms
マグネット / magnet ネオジウム / Neodymium
インピーダンス / Impedance 24Ω
感度 / Sensitivity 107dB/mW
最大入力 / Power handling capacity 3,000mW
再生周波数 / Frequency response 5〜30,000Hz
重量 / Weight 300g (コード含まず) / 10.5oz / 10.6oz
定格電力 / Rated power -
折りたたみ / Fold
コード / Cord 3m (伸張時) / 9.8ft, LC-OFC クラス 1 リッツ線 / OFC Cord, カールコード, 片出し
プラグ / Plug type 金メッキステレオ 2 ウェイプラグ / Gold, Stereo Unimatch plug / 1/4 and 1/8
発売時期 / Release 1992 年 8 月 20 日発売 (MDR-Z900)
価格 / Price 25,000円 (MDR-Z900)

MDR-Z900HD / MDR-7509HD

MDR-Z900 / MDR-7509 の後継モデルとして発売されました。しばらくの間は旧機種と平行して出回っていたため、どちらか選んで買うことができましたが、現在はこちらのモデルだけが販売されています。

再生周波数特性が従来の 5〜30,000Hz から 5〜80,000Hz にまで引き上げられているのが大きな特長です。人間の可聴周波数域の上限はおおむね 20,000〜30,000Hz 程度までといわれますが、不可聴域の音まで再現することで、音場をより豊かに表現できるというコンセプトが感じられます。

音質はたいへん素晴らしいものです。HD がつかない旧機種を支持する声も多いですが、HD 付きの本機種も、SONY らしい良い機種だと思います。低音はおとなしめ、高音が輝いている、という評価をよく目にします。

諸元

主な仕様は以下のとおりです。

諸元 (MDR-Z900HD / MDR-7509HD)
型式 / Type 密閉ダイナミック型 / Circum-aural, closed / Dynamic, closed
ユニット / Driver Units 50mm ドーム型 (OFCボイスコイル採用)
振動板 / Diaphragms HD ダイヤフラム
マグネット / magnet ネオジウムマグネット / Neodymium
インピーダンス / Impedance 24Ω
感度 / Sensitivity 107dB/mW
最大入力 / Power handling capacity 3,000mW
再生周波数 / Frequency response 5〜80,000Hz
重量 / Weight 300g (コード含まず) / 10.5oz
定格電力 / Rated power 1.0W
折りたたみ / Fold
コード / Cord 3m (伸張時), LC-OFCクラス1リッツ線 / OFC Cord, カールコード, 片出し
プラグ / Plug type 金メッキステレオ 2 ウェイプラグ / Gold, Stereo Unimatch plug / 1/4 and 1/8
発売時期 / Release -
価格 / Price 18,000円〜27,000円 (MDR-Z900HD) / 265.00US (MDR-7509HD)

MDR-V6

初代 MDR-CD900 の海外版として発売されたモデルです。見た目は MDR-CD900ST と MDR-7506 を一緒にした感じです。初代 MDR-CD900 と同じように、折りたたみ可能、カールコード、イヤーパッドも分厚い MDR-7506 タイプです。MDR-CD900 との違いは、ハウジング外見の仕上げがつや消しであること(MDR-CD900ST 同様、ただし縁取りの仕上げが異なる)、カールコードケーブルの素材が少し違うこと、コネクタが金メッキではないこと、くらいでしょう。

私の愛用している MDR-CD900 が年月に伴って老朽化しており、また長く使っているうちにドライバー等各種パーツもヘタるという話を耳にして、少し不安に思っています。すでに当時のドライバーは手に入らないでしょうから、壊れたらどうしよう・・・そんな中、目をつけたのが本製品。MDR-CD900 の海外版として登場し、現在でも販売されているロングセラー。外見的には MDR-CD900 そっくりな MDR-V6 はいかなる製品なのかと、ずっと気になっていました。

入手方法

海外モデルということもあり、国内ではあまり出回らず、レビューも少なかったですが、その後サウンドハウスやアマゾンなどで取り扱いがあったおかげで、最近ではいろいろなところで紹介されています。

私が入手したときはまだ国内での取り扱いが少なく、国内代理店に輸入してもらいました。送料等含めて 12,000 円くらいでした。amazon.com で買えば $79.11 (2008 年 9 月 2 日現在) でしたから、だいぶ高めを選んでしまったのですが、代理店で買えばとりあえず 1 年間は販売店が保証してくれるということなので、差額は安心代と考えています。amazon で買ったからといって保証がないわけではないですが、返品等の処理は自分でやらないといけませんし、基本的にはメーカー保証はききません (本来流通を想定している当該国内限定の保証)。

どころで、amazon.com だと、なぜか 2 件 HIT します。

後者はパッケージになっているからちょっと高いようです。前者がプロ向けで後者はコンシューマ向けということでしょうか。ちなみに私の手元に届いたのは後者のほうでした。こちらは $99.00 (2008 年 9 月 2 日現在) となると、国内代理店経由での 12,000 円はそれほど高かったわけではないということがわかり、少し安心しました。

音質

たしかに MDR-CD900 と似ています! が、サマリウムコバルト版の MDR-7506 にもそっくり。というか、ちょうど中間くらいの印象です。

まず、MDR-CD900ST とは違って聞こえます。特に低音が MDR-CD900ST よりも元気です。これは、ドライバーの違いによるところもあるでしょうが、イヤーパッドの違いとミクロングラス有無が大きく関係していると思います。サウンドハウスの通販サイトのユーザーズレビューには「MDR-CD900ST と部品構成は同じ」という情報提供がありましたが、わずかながら違いはあると思います。まずイヤーパッドが違いますし、MDR-V6 にはミクロングラスが入っていません。ヘッドバンド、ヘッドクッションの大きさも異なりますから、側圧の違いも出てくるでしょう。音質とは関係ないかもしれませんが、折りたたみの可否、LR間のケーブルの仕上げも違っています。

MDR-CD900ST のような独特のフラット感はあるものの、水平方向へのフラット感はわずかにこぢんまりとした感じに聞こえます。良く言えば、上品にまとまっており、悪く言えば、水平・同心円方向への広がりが狭い、といった具合です。

その一方、縦方向への広がりはたいへん豊かです。低音も綺麗に響き、鬱陶しさはありません。MDR-7506 や MDR-CD900 の鮮やかな雰囲気は持っていますが、「生っぽさ」よりも「まとまり」が強いように思います。このまとまり感を、「締まっている」ととるか、「こぢんまり」ととるかが、この機種の賛否につながることと思います。

MDR-CD900 の代替になるか?

いわゆる「SONY らしさは控えめ」な、優等生的な音質だと感じます。MDR-CD900ST のように、ある種荒っぽさも含んだ新鮮な感じとは少し違いますし、MDR-CD900 のような地味なクリアさとも違う。一番近いのはネオジウム版の MDR-7506 かな、と思いました。というかそもそも MDR-V6 と MDR-7506 はドライバーが共通なのだから、当たり前といえば当たり前ですね。

iTunes ライブラリに入っている mp3 ファイルなどを鳴らすと、かなり良い感じでリスニングできます。ずっと聴いていても疲れにくく、飽きのこない使用感です。

手持ちの MDR-CD900 に比べるとクリアさはやや控えめですが、音楽としての迫力を楽しむには MDR-V6 のほうがいいような気もします。繰り返しになりますが、「あまり SONY らしくない万人受けしそうな音質」と言えそうです。そういった点で、MDR-CD900 とは別物ながら、代替品として楽しむことでできそうです。海外の amazon を利用できる方であれば、$69.99(2008 年 11 月現在)で購入できますので、コストパフォーマンスはかなり高いと言えます。

本音は、ダイヤモンド蒸着振動板+サマリウム磁石の 40mm ドライバー品が復活してくれれば嬉しいのですが、ちょっと現実味がありませんね。MDR-Z900HD・MDR-7509HD がそういったハイエンド機種として位置づけてあるのでしょうが、私には 50mm ドライバータイプはちょっと重たいです。

なお本製品は、公式サイトや通販サイトでは「ネオジム磁石使用」ということになっているのですが、私が持っている取扱説明書には「サマリウムコバルト磁石使用」とはっきり書いてあります。前半ロットだからでしょうか。

諸元

主な仕様は以下のとおりです。

諸元 (MDR-V6)
型式 / Type 密閉型 / Circum-aural, closed
ユニット / Driver Units 40mm
振動板 / Diaphragms -
マグネット / magnet -
インピーダンス / Impedance 63Ω
感度 / Sensitivity 106dB/mW
最大入力 /Power handling capacity 1W
再生周波数 / Frequency response 5〜30,000Hz
重量 / Weight 230g (コード含まず)
定格電力 / Rated power 0.5W
折りたたみ / Fold
コード / Cord 3m, Oxygen-Free Copper, カールコード, 片出し
プラグ / Plug type ステレオ 2 ウェイプラグ (3.5mm / 6.3mm) ※金メッキではない
発売時期 / Release -
価格 / Price 実売 9,000 円〜12,000 円前後

総評

製品のスペックは SONY のメーカーカタログや各種ウェブサイト上の情報から、文章は知りうる知識と個人的な感想、評価をもとにまとめました。特に評価については、私個人の判断にすぎませんので、正反対のご意見を持つ方もいらっしゃると思います。意見を強くアピールし、同意を求める意図はまったくありません。これらの製品に興味をお持ちの方に、少しでもお役に立てればと思います。

疑問、質問、提案、情報、感想等ございましたら、こちらまでお寄せください。